藤(フジ)とは
藤は昔から日本人に親しまれてきた花の一つです。1300年も前、平安時代よりもっと前から天皇や貴族に愛されており、有名な「古今和歌集」にも藤の花についての和歌が多く残されています。
藤の花はマメ科の植物で、長いツルを巻き付けながら成長します。古くから日本人は、花が垂れ下がる姿を観賞するために、つるが這い上がるための藤棚を木枠で作りました。いまでも5月の最盛期には、鮮やかな紫色の花とかぐわしい香りを楽しみに、多くの人が藤棚を訪れています。
藤の開花時期・花言葉
開花時期:4月から6月頃
花言葉
- やさしさ
- 歓迎
- 恋に酔う・陶酔
- 決して離れない
藤(フジ)の花言葉についての解説
歓迎
たっぷりとした房が着物の袖に見えることから、藤は女性に例えられることが多いです。
おおきな藤の花が垂れ下がっている様子を、相手にお辞儀をする女性の袖に重ね合わせて、この花言葉が出来たと言われています。
恋に酔う・陶酔
かの有名な紫式部も藤の花を愛した一人でした。「源氏物語」にも重要なモチーフとして取り上げています。
「源氏物語」の光源氏は、義理の母であり初恋の相手でもある藤壺の女御を深く愛していました。しかしその想いは実るはずもなく、光源氏は藤壺の女御の姪である紫の上に彼女の面影を重ね、育て上げていくのです。
ここに登場する二人には「藤」と「紫」という字が使われ、藤の花を思わす高貴な存在として登場しています。この二人を思って光源氏が詠んだ歌があります。
「手に摘みて いつしかも見む 紫の 根にかよひける 野辺の若草」(源氏物語/第五帖)
手に摘んで早く見たいものだ。紫草にゆかりのある野辺の若草を
藤壺とゆかりのある紫の上を育て、早く手元に置きたい、とそんな気持ちが伝わってきます。
光源氏は藤壺に心奪われ、紫の上の登場で大きく人生が変わっていきます。そんな彼の女性たちに対する思いは、まさに「心酔」といった様子です。
決して離れない
この花言葉は、藤の花の付き方に由来しています。
藤はほかの植物などにツルを巻き付けながら、ぶら下がるようにして花を咲かせます。その姿が、男性に寄りかかりながら頼っている女性に見えるという事で、このような花言葉が生まれたと言われています。
少し怖い響きもありますが、どこまでも旦那さんについて行く、昔ながらの良い奥さんのようにも感じられませんか?
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