睡蓮(スイレン)とは?

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池や沼からきれいな白い花を咲かせる睡蓮は、日本全国に生えている水生植物です。花の色は白の他にも赤、ピンク、黄、青、紫とさまざまです。
日本に生息している睡蓮の別名を「ヒツジグサ」と言いますが、これは睡蓮の白い花が午後、未(ヒツジ)の刻ごろに咲くことから来ているそうです。英語名は「Water Lily」です。
フランスの画家・モネの傑作「睡蓮」や、湘南乃風の「睡蓮花」など、睡蓮をモチーフにした作品は多く存在しています。そんな睡蓮の花言葉について解説していきましょう。
開花時期:5月~9月
睡蓮と蓮(ハス)の違い
花言葉を紹介する前に、気になることがあったので調べてみました。睡蓮とよく似た植物である蓮(ハス)との違いです。この2種類の見分け方が2つありますのでお伝えしますね。
1つ目に、葉に深い切れ込みがあるのが睡蓮で、切れ込みがないのがハスです。2つ目に、花が水面近くで咲くのが睡蓮で、水面よりも茎が高く伸びて咲くのがハスです。覚えておくと役に立つかもしれません。
睡蓮の花言葉
・信仰
・純情
・愛情
・無垢
白い睡蓮の花言葉
・純粋
・潔白
黄色い睡蓮の花言葉
・甘美
・優しさ
ピンクの睡蓮の花言葉
・信頼
意外な睡蓮の花言葉
・滅亡
・冷淡
・終わった愛
睡蓮の花言葉についての解説・説明
睡蓮の花言葉はいくつかあり、色によっても異なります。順に説明していきましょう。
信仰
睡蓮は朝に咲いて夕方には閉じることを繰り返す花です。まるで朝に地上を照らして夕方に去っていく太陽のようであるため、古代エジプトでは、睡蓮は太陽を表すシンボルとして崇められていたそうです。ここから「信仰」という花言葉がつけられました。
純情、愛情、無垢
睡蓮は清らかさをイメージさせる花言葉が多いです。また、何度も繰り返し咲くことから、生命力や生産力をほうふつとさせます。「愛情」はこの生命力から来ている花言葉です。
純粋、潔白(白い睡蓮)
白い睡蓮はより清らかなイメージが強いため、純粋・潔白という心情や立場などがクリーンであることを示しています。
甘美、優しさ(黄色い睡蓮)
黄色い睡蓮は、生命としてのエネルギーや愛情をイメージさせる「甘美」「優しさ」という花言葉があります。
信頼(ピンクの睡蓮)
ピンクの睡蓮には、女性らしいエネルギーをほうふつとさせる「信頼」という花言葉がついています。日頃から信頼している人にはピンクの睡蓮を贈りたいですね。
意外な睡蓮の花言葉
滅亡、冷淡、終わった愛
睡蓮には、清らかでポジティブな花言葉以外にもネガティブなイメージの花言葉が存在します。これには由来が5つもありますので、順番にご紹介します。
ヘラクレスとニンフのギリシャ神話
睡蓮の学名は「ニンファー(Nymphaea)」といいますが、これはギリシャ神話に登場する水辺の妖精「ニンフ(Nymph)」が由来していると言われています。
かつて、かの有名な英雄であるヘラクレスに妖精ニンフが恋をします。身分の違いすぎる恋は叶わず、ニンフはヘラクレスに捨てられてしまいます。失意のニンフはナイル川に身を投げ、睡蓮に生まれ変わり、ナイル川に咲くようになりました。
ギリシャ神話に登場するくらい、睡蓮は古来から愛される花だったんですね。
ネイティブアメリカンの伝説
現在のニューヨーク州に当たる場所に、かつてネイティブアメリカンがタッパー湖と呼ぶ湖があり、この湖のほとりにはサラナク族が住んでいました。サラナク族の酋長であるワヨタは、オジータという美しい娘と相思相愛でした。
しかし、オジータの両親は、オジータをワヨタではなく別の男と結婚させようとします。オジータは自分の気持ちよりも両親の気持ちを優先させる優しい娘でした。そのため、オジータはワヨタを避けるようになります。
オジータを諦めきれないワヨタはタッパー湖の辺りでオジータを抱きしめようとしますが、悩むオジータはその手を振りほどくようにタッパー湖に身を投げてしまいました。ワヨタはオジータを救おうとしましたが、まるで水に溶けてしまったかのように彼女の姿はどこにもありませんでした。
翌日、一人の漁師がタッパー湖の水の中に白や金色の花がたくさん咲いているのを見つけました。この花が睡蓮で、オジータが死んで睡蓮の姿になったと言われたそうです。
プリアーポスとローティスのギリシャ神話
睡蓮にまつわるギリシャ神話をもうひとつ紹介いたします。
その昔、ローティスという美しい妖精(ニュンペー)がいました。彼女の美しさに目をつけた男根神プリアーポスが言い寄りますが、ローティスは逃げ回っていました。それでもプリアーポスが諦めないためうんざりしたローティスは、水辺で神に祈り赤い睡蓮に姿を変えました。
その後、その泉にドリュオペーとイオレーという姉妹が水辺に遊びに来ました。ドリュオペーはその美しい赤い睡蓮を見つけて摘み取りました。
ところがその花からは血が滴り落ち、睡蓮もブルブルと震え出したのです。二人は恐ろしくなって、その場を離れようとしますが、ドリュオペーは動けません。なんと、彼女の足に根が生えてきていたのです。
ドリュオペーは「この花はつまないで」と言い残して、睡蓮になってしまったのでした。
トロイア戦争における睡蓮の伝説
トロイア戦争後にギリシアに帰る途中、イタカの王オデュッセウスの船がリビアの岬に漂着します。その島には、ロートスの実をを食べる人々が住んでいました。
その実は美味しい上に、世の中の全ての苦痛を忘れる力がありました。その果実を食べた兵士は、目的を忘れて怠惰に暮らすようになってしまったのです。
西洋の伝説では、黒い睡蓮は「毒や眠り」をもたらす作用があるとされていますが、これはトロイア戦争の伝説から来ていると言われています。
ドイツの沼の伝説
ドイツの沼に住む妖精は人目に触れることを嫌っており、人間が近づくと睡蓮に姿を変えて身を隠すと言います。そして人間がいなくなると、元に戻るのです。
また別の話では、睡蓮の葉の下には水魔がすんでいて、自分の愛する睡蓮の花を摘み取ろうとする人間を沼の中へ引き込むということです。
睡蓮に危害を加えようとすると制裁が待っているという話ですが、少し恐ろしいイメージを持ってしまいますね。
まとめ
いかがでしたか。睡蓮にはポジティブな意味だけでなく、ギリシャ神話や伝説から来る少し怖いイメージの花言葉もありました。それだけ古来から人々の身近にあり、特別な意味を持つ花だったということでしょう。奥の深い花、睡蓮でした。